来るべき書物の予告篇

海外文学を中心とした書評、作家志望者のためのアイデアノート

断片メモ、貿易ゲーム

昨日、「貿易ゲーム」を行う機会があった。貿易ゲームとは現実の国をモデルにしたチームに別れ、不公平なルールのもとで資金を稼いでいくというゲーム。
特徴としては、元々教材として開発されたものなので教育目的で使うものとして完成度が高いこと。
そしてルール追加によって情勢がリアルタイムに変わっていくということが挙げられるだろう。

今回このゲームを行うにあたって、追加ルールのなかにさらに工夫を加えてみた。オリジナルのルール「戦争」「テロ」「核兵器」を取り入れたのだ。

どれもきなくさい、世界情勢のネガティヴな部分だが、こうしてゲームに盛り込んでみるとその「構造」がよくわかる。
例えば今回のゲームでのチームは、モデルにした国の名前で呼ぶと日本・ブラジル・インドネシア・インド・中国・南アフリカ・イランの7つだったが、まず戦争は日本対南アフリカで起きた。資源も技術も資金もなく追い詰められたアフリカからの宣戦という形だ。
そして当然ながら返り討ちにあい、国はほとんど崩壊状態となった。

そして面白かったのが二度目の戦争で、製品に貼ると価格が五倍になるという「原油シール」がアフリカで出たので、それを奪うため今度は日本の側から開戦したのだ。これはそのまんまイラク戦争じゃないかと、皆で笑ってしまった。

テロ攻撃ルールは、一対一のじゃんけんで勝てば相手国の製品をひとつ破壊できるというものだった。
敗戦で崩壊し、さらに席をはずした間に資源を根こそぎ略奪される憂き目にあったアフリカは、怒りに駆られてテロの道に飛び付いてしまった。きっと現実もこのような構図になっているのだろう。
しかしアフリカはテロの連発によってすっかり孤立していってしまった。

最後に核兵器のルールは高額の核を購入し、もし使えば相手国の全ての資源と全財産の半分を破壊できるというもの。しかし核は複数あるため、もし使用すれば反撃される可能性もある。
このゲームでは結局、核を使用する国はなかった。しかしそのギリギリまではいっていた。
検討していたのは二国。恫喝のために切り札として持っておこうとした日本。そしてトップの日本潰しを計画したイラン(!)だ。しかし反撃への恐怖が結局それを見送らせたのだった。このクラスはまだ理性的だったということか。

最終的には複数の国が連合を組んだ戦いになったが、日本・インドネシア連合がブラジル・インド連合に経済競争で負けたのが、なにかこの先を象徴しているようだった。