来るべき書物の予告篇

海外文学を中心とした書評、作家志望者のためのアイデアノート

10のリフレーミング・ゲームと「すばらしき新世界プロジェクト」

リフレーミング・ゲームとはなにか 「リフレーミング」とは心理学やコーチングで使われることの多い言葉だが、ここでは小説や物語の書き換えを意味する。 リフレーミング・ゲームとは何か。それは物語を書き換え、異なる視点から見ることにより、物語を新し…

断片メモ、貿易ゲーム

昨日、「貿易ゲーム」を行う機会があった。貿易ゲームとは現実の国をモデルにしたチームに別れ、不公平なルールのもとで資金を稼いでいくというゲーム。 特徴としては、元々教材として開発されたものなので教育目的で使うものとして完成度が高いこと。 そし…

【予告】サーカスとしての読書から来るべき書物

僕たちは一冊の書物を手に取る。好みの小説で良いだろう。 そして読む。 ああ、おもしろかった。と読み終える。 その後どうするだろうか? ノートやブログに読書メモを残すだろうか? 友人と感想を論じ合うだろうか? それともそのまま何もしないだろうか? …

「千話一夜」から来るべき書物

物語を創るというお祭り 松岡正剛『物語編集力』 大塚英志『物語の体操』 『ゲームストーミング ―会議、チーム、プロジェクトを成功へと導く87のゲーム』 物語がもっともおもしろいのは、それが生まれる瞬間だと常々思っている。 例えばここに一個のアイデア…

「書けたかもしれない小説」から来るべき書物

『完全な真空』 スタニスワフ・レム 自らの誕生を描く小説は、後戻りの第一歩に過ぎなかった。今ではもう、小説がどのように生まれて来るかを示す作品を書くものなどいない。具体的な創作過程の記録などというのも、あまりに窮屈だ! 今、作家たちが書いてい…

断片メモ、「未来派野郎」について

前回の追補として、“教授”/坂本龍一のアルバム=『未来派野郎』を紹介したい。 未来派の音楽化というより、彼らの活動をサンプリングしながら、そこから連想されるイメージを表したというべきか。 ブレードランナーやフィリップ・K・ディックといったSF…

断片メモ、幻想の未来派について

それは騒々しく、硬質で、スピードと大衆とテクノロジーを賛美した宣言によって始まった。 そしてそれはファシズムの熱に浮かされた軍靴の響きの中に消えていった。 Futurismo/未来派というのが彼らの活動の名である。 たしかに、彼らの活動はあまりに政治…

断片メモ、あたらしい物語について

これ(アルフレッド・ジャリの『絶対の愛』)は五十ページほどの小説で、それぞれ完全に異なった三つの物語として読むことが可能です。すなわち、(一)ある死刑囚の執行前夜の独房における観念、(二)不眠に苦しむ男が、半睡半醒のうちに死刑の宣告を受け…

イリヤ・カバコフから来るべき書物

『イリヤ・カバコフの芸術』 沼野充義 馬鹿げた奇想天外なものに見えるアイデアばかりだが、この一つ一つがユートピアという砕け散った「大きな物語」の破片なのである。 イリヤ・カバコフ(1933~) ウクライナ出身。「ソヴィエト連邦」を主なテーマと…

起こらなかった世界から来るべき書物

『アンビルト・ドローイング 起こらなかった世界についての物語』 三浦丈典 前回紹介した代替現実ゲームがナショナル・ジオグラフィックでも取り上げられていた。 http://nationalgeographic.jp/nng/article/20121011/326463/ (「研究室」に行ってみた) 第…

代替現実から来るべき書物

『のめりこませる技術 誰が物語を操るのか』 フランク・ローズ “代替現実ゲーム”として知られるこの手の体験は、ゲームと物語の交配種だ。“物語”は断片として与えられる。その断片をつなぎ合わせることがゲームとして機能する。しかしそのパズルは一人で解く…

ボルヘスから来るべき書物

「ハーバート・クエインの作品の検討」(『伝奇集』岩波文庫より) ホルヘ・ルイス・ボルヘス 彼は、すぐれた文学は非常にありふれたものでその域に達していないような街の会話はほとんどない、という意見だった。 ・・・ただ、彼の本が驚きを与えることを狙…